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    三鷹天文台 特別公開 その7

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    by ゆげ2号 

    ■解析研究棟

     ドームの中が倉庫になっているらしい解析研究棟です。入り口でなんかやってるようなのですが、そろそろスタンプラリー終了の時間が見えてきたので、とりあえず中に入ることにしました。

     しかし、入り口の学生さん、空模様を見つめてるのでしょうか、じーっとあらぬほうを見たまま立ち尽くしています。その手に握られているのは、大き目のジャガイモ2個。しかも、なんか色が悪い。そのうえその横ではこの寒空の下、カキ氷の機械を一心不乱にガリガリやってるし…あやしさ大爆発です。気になるなーと思いつつ、なんとなく関わらないほうが良いような雰囲気を感じて(失礼)、たたんだ傘の始末をしようとするゆげ2号。すると、ハッとわれに返ったかのような学生さんに声をかけられました。

     学生A氏「あ、あのっ!彗星作ってみませんかっ?!」
    ゆげ2号「はぁ~????」
    すいません…あまりにびっくりしたもんで、素っ頓狂な返事をしてしまいました。 

     それで、あたりをよーく見渡してみると、テーブルで子供達が土をこねくって塊を作っており、どうもそれを細かく削ったドライアイス(カキ氷ではなかった)につっこんで彗星を作る、というものらしいです。色の悪いジャガイモと思ったのは、完成した手作り彗星だったようです。

     むう、基本的に体験ものは好きなのですが…やっているのは子供ばっかりじゃないですか!(精神年齢を見抜かれたか?)時間もないし、小さなお友達に譲りました。しかし、ユニークですなぁ。まじめな展示ももちろんしっかりあるのですが、廊下でカードバトルをやっていたり、おもしろかったです。

     学生さんたち自身が楽しんで企画しているのが伝わってきていいなぁ…と眺めていたのですが…。  

    ゆげ1号と該当者氏が何かに気づき、色めきたちました。
    ゆげ1号「あ、あれって…アレじゃないのか?!」
    該当者氏「アレですよ!行ってみましょう!」
    ゆげ2号「?なんですと?」

     言われるままにあるコーナーに近づいてみると、こ、こ、こ、これはっっっっ!!!!!
    野辺山の特別公開時にゆげーずの主要テーマになっていて、あちこちたずねて回った…。
    実は三鷹でも探したけれどタンクが見当たらなくて、あきらめていた…。

    ヘリウムジャボ漬けじゃあないですかっっ!!
    ヘリウムジャボ漬けどど~ん!

     うわー、ほんとにヘリウムジャボ漬けだよ~。こんなところで本物に出会えるとは…感無量ですよ(号泣)。

     実験内容としては、再生中のipodとスピーカーを抵抗?でつないでいるのですが、これが室温だと熱雑音によりスピーカーからはノイズしか聞こえてこない状態。これをヘリウムの中につけてやると熱雑音が取り除かれて音楽が聞こえるようになる、とそういう実験のようです。ゆげーずらと一緒に眺めている小学生の男の子達は興味しんしんで眺めています。ゆげーずらも違うところで興味しんしんです。

     タンクの口周りには冷凍室のように、空気中の水分が凍った霜がびっしりついていました。そしてかすかに見える湯気のようなもの…たぶんこの液体の蒸気なのでしょう(沸点が室温より低いですから)。しかし、これは本当にヘリウムなのか?液体窒素じゃないのか?だってこんな、タンク丸ごとのヘリウムなんて高いじゃん?(知ったかぶり) そんなわけで一応確認してみました。

    ゆげ2号「これ、タンクの中は液体ヘリウムですか?」
    解説者氏「そうですよー」
    ゆげ2号「ということは、タンクから出ている蒸気を吸うと声が高くなるわけですか?」

     うかつでした。ゆげ2号がそう言うや否や、小学生達がタンクに顔を寄せて、一生懸命ヘリウムの蒸気を吸い込み始めたのです。
    小学生「声変わった?声変わった?」
    解説者氏「ああっ!!だ、だめだよ!これだけ吸うと死んじゃうから!」

     そのときは知らなかったのですが、最近そういう事件があったらしいです…。ゆげ2号が余計なことを言ったばっかりにすみません、解説者氏。あらためておわびいたします。  

     ※ヘリウムの危険性については、おまけでまとめてみました。興味のある方は、ずーっと下のほうをご参照ください。

     ちなみに、アヒル声になるパーティーグッズのほうのヘリウムガスは酸素が混ぜてあるので安心です。ヘリウムは空気中より音の伝わり方が早いので、声が高く聞こえるそうです。早口言葉とかやるとおもしろいそうですよ。

     いやーしかしここでヘリウムジャボ漬けに出会えるとは…。三鷹でも液体ヘリウムのタンクを探していたんですけど全然見つからず、一応人にも聞いたのですが「ここでは液体ヘリウムが必要なものは作っていないから、あるとしても実験棟くらいでしょう」とのことでした。それで、それじゃあヘリウムジャボ漬けはないなー、きっとこういうことのために液体ヘリウムを置いてるんだなー、とあきらめていたのです。
    風船三鷹での液体ヘリウムの用途(笑) 

     なんというか、捜し求めても見つからなかったのに、あきらめていたところで不意に出会うなんて…灯台下暗しというか、青い鳥は身近にいたのねヘンゼルそうだねグレーテルというか。

     偶然とはいえ、これはもう運命。ヘリウムジャボ漬けをめぐるゆげーずらの長く険しい(嘘)彷徨の道は、今ここで衝撃的なフィナーレを迎えたのです。

     いまこそ!これまで恥ずかしくて聞けなかったあの質問をしなくては!!

    ゆげ2号「あ、あの…、これってヘリウムジャボ漬けですよね?
    解説者氏「………えー、まあ、ジャボっと漬けてますね( あっさり聞き流し )。」
     
     アレ??ヘリウムジャボ漬けってこの業界では一般用語じゃないのか?野辺山の特別公開のとき東大60cm電波望遠鏡コーナーの解説者氏は、ごくごく普通に使っている様子だったのに…。そこからこの、長く辛い(嘘)道が始まったというのに…。あんなに”ジャボ漬けジャボ漬け”言っていたゆげーずっていったい…。教えてー東大60cm電波望遠鏡の人~~。

     えー、なんかしまらないですが(非常にゆげーずらしいともいう)、気を取り直して他の展示を見て回ります。時間も押し迫ってきたので、かなり駆け足になってしまいましたが(もったいない…)。
    超伝導←クリックすると大きくなります。

     「ああ、浮いてる!浮いてるよー!」写真がうまく撮れなくて残念でしたが、途中で超伝導の実験を見ることが出来ました!超伝導ということは…4K(ケルビン)=-269℃か!今日はヘリウムジャボ漬け祭り?!興奮気味にみつめるゆげ2号の前で、実験者氏がピンセットの先をスッ、スッと浮いている磁石の下にくぐらせて見せてくれました。確かにしっかり浮いていてすごい…。でもちょっと、人体浮遊の手品を思い出してしまいました。

     なんとか写真に撮りたかったんですけど、どうやっても液体ヘリウムの蒸気でモヤモヤになってしまってちゃんと写せなかったんですよ。実験者氏もふーっ、ふーっって蒸気を吹き飛ばして手伝ってくださったんですが、ゆげ2号の腕とデジカメの性能が…でもありがとうございました。心にはしっかり刻み付けましたよ!

     それにしても、まったく!コンテンツ多すぎっすよ!全部見て回ってお話を聞くなんて無理っすよ!まあ、天文ファンの皆様に比べて、知識がなさすぎるゆげーずがアレなのかもしれませんが…。でもでも、どこもおもしろそうなんで時間がいつの間にか過ぎちゃうんですよ…。

     ほかも、もっとしっかり聞いて回りたかったですが、まだTAMA300が残ってたんですよねぇ。なんせTAMA300は地下にある施設なので、今日を逃したら本当に見られないですから…。すばるのコーナーもほとんど見られていないのですが、またまた泣く泣くすっとばしました(ほんと、もったいない)。 

    <追記:観測機器をなぜ極低温まで冷やさなければいけないか、該当者氏がコメント欄でまとめてくれたので、リンクを張っておきます→ここをクリックするとコメントへ

    ○次回予告○
    地下にある謎の設備、TAMA300に潜入!

    それはさておき、三鷹のシリーズも、はや7回。
    いつのまにか野辺山のシリーズを追い抜きそうな勢い。

    このシリーズはいったいいつまで続くのか?!
    ゆげ2号は事態の収拾をつけられるのか?! 

    つづく

    ★おまけ ヘリウムガスの危険性について★
    (長々書いてありますが、すでにご存知の方は読み飛ばしてください) 

     ヘリウムガスで窒息した事故がある、と聞いたときに知らない人はたぶん不思議に思ったと思うのです。「じゃあ、なんでそんな危険なものがパーティーグッズとして売られているんだ?」って。ゆげ2号も気になったので、調べたことを覚書としてまとめておきます。

     まず、どの気体が人体にとって有害かということであれば、大雑把に分けて、ごく低濃度でも人体に悪影響を及ぼすものと、かなり高濃度にならないと悪影響を及ぼさないものに分けられます。例えば、一酸化炭素の場合、酸素よりはるかに血中のヘモグロビンと結合しやすいというやっかいな性質があり、1500ppmの濃度で1時間さらされると死にいたるそうです。

     この”1500ppm”という濃度、ppmとは”100万分のいくらか”という意味なので、
    1500/1000000=15/10000=0.0015% よく似た名称の二酸化炭素の致死量が7%以上であることを考えると、毒性が高いことがわかります。

     しかし、ヘリウムにはこうした低濃度で人体に悪影響を及ぼすような性質はありません。ここでポイントになるのが、人間の呼吸の仕組みです。

     人間の呼吸は呼吸中枢がコントロールしています。よく息苦しいとき「酸素が足りない」などと表現しますが、呼吸中枢には酸素に対するセンサーはありません。動脈血中の二酸化炭素分圧によって呼吸をコントロールしているのです。なので、密閉した部屋の中で二酸化炭素濃度が高まると、呼吸回数が増え「息苦しいな、窓を開けよう」「外に出て、新鮮な空気を吸おう」となるので、ごく特殊な場合を除いて二酸化炭素中毒になることはまずないわけです。

     しかし、これが二酸化炭素以外の気体ならばどうなるか。繰り返しますが、呼吸中枢が感知できるのは二酸化炭素濃度だけです。二酸化炭素と酸素以外の、一般的に無害な気体で満たされている部屋にいても、息苦しくなることはありません。しかし酸素不足なので、おかしいな、と思う前に体が思うように動かなくなったり、意識が遠のいてしまいます。気がついたときには(もしくは気づく前に)もう遅いというわけです。

     そこで、風船内のヘリウムガスとパーティグッズのヘリウムガスの違いなのですが、パーティーグッズのほうには20%酸素が混ぜてあります。これは空気中に含まれる酸素の割合と一緒にしてあるのです。要するに割合が重要なわけですね。風船などに使われるヘリウムガスの場合、ヘリウムが危険なのではなく、ヘリウムが100%であること(酸素が含まれていない)が危険なわけです。

     ただ、こんな理屈、子供に知っとけというのも難しい話です。ジャボ漬けコーナーにいた解説者氏、とっさに判断して声をかけられたのは偉いなぁと思いました。

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    Posted by ゆげ1号 on  | 4 comments  0 trackback

    4 Comments

    該当者 says..."熱雑音"
    >ヘリウムジャボ漬け
    今回の展示を見るまでは冷やす理由は単に”深宇宙から来る電波は微弱な電波だからそれを受信するためには熱雑音を少なくしないと拾えないということなのかな?”といった理解だったのですが、展示を見て”そもそもサブミリ波を受信するには観測機材自体を4Kまで冷やさないと観測できない”ということがわかりちょっとうれしかったです。
    ※文系なものでちょっと深くなると基礎がない分いい加減な理解になってしまいます。

    ということでヘリウム大量吸引の危険性は参考になりました。パーティグッズのヘリウムには20%の酸素が入っているのは教育実習のとき同期の理科担当の友達に缶を見せてもらったときに知っていたのですが、人間が”息苦しさ”を感じるのは二酸化炭素だけだったのですね。。。
    。。。。。。。。。もしかしたら洞道はいる資格研修のときに言っていたかな?
    2007.11.05 12:48 | URL | #195Lvy4Y [edit]
    ゆげ2号 says..."むつかしいです"
    >そもそもサブミリ波を受信するには観測機材自体を4Kまで冷やさないと
    えーと、展示を撮っといたんで見直してみたんですが、極低温にする目的として①熱ノイズを抑える 以上に②そもそも超伝導を起こさないと動かない ということでいいんですかね(今でもあやふや)。ああ、解説者氏に聞いてみればよかったなぁ。
    ゆげ2号も隠れ文系みたいなもんで、物理化学は弱いですよ。

    >ヘリウム
    ずばっと書いてあるところがあればよかったのですが、うまく見つけられず、自分なりにまとめてしまいました。細かいところで間違いがあるかもしれませんが(後でppmの計算間違いに気づいてこっそり直したり(恥))。

    >人間が”息苦しさ”を感じるのは二酸化炭素だけ
    余談ですが、緊張やパニックなどで過剰に呼吸することを『過呼吸』といって、苦しんだり、ひどいと失神したりすることがありますが、あれは二酸化炭素を吐き出しすぎてその状態を体が酸素不足と勘違いし「もっと呼吸しろ!」と命令を出して悪循環になるせいらしいです(このとき、血液中の酸素濃度はむしろ平時より高まっているのですが)。だから、軽いものだと紙袋で口を被って、二酸化炭素を多めに吸わせると収まるとか。血液中の二酸化炭素が多すぎても少なすぎてもだめらしいです。
    2007.11.05 14:12 | URL | #PtTZI1rk [edit]
    該当者 says..."よくよく見返すと"
    冷やすのには3つ意図があるようです。
    とりあえず写真の内容をテキストにしてみました。
    引用元は”テラヘルツ研究グループ”の写真です。研究室名がちょうど光が入っていてわからないです。。。先端技術センターのどこかです。。。
    文系?的にまとめると
    ・波長によって対応する温度がある、サブミリ波の場合、それが約-270度(3Kぐらい)ということ
    ・熱雑音を減らして本来の信号を取りやすくする
    ・超伝導体を使うので極低温に冷やす必要がある
    ということみたいです。で、
    結局サブミリ波を観測する上で絶対条件となるのは一番上”波長によって対応する温度”ということかなと。

    以下、”テラヘルツ研究グループ”の写真のテキストです。
    ---------------------------------------------------
    なぜ冷やすの?
    理由1
    宇宙を観測する時は、観測したいものによって使う波長が違います。
    また波長にはそれに対応した温度があります。
    サブミリ波は、約-270℃に対応しています。
    ※詳しくは”波長と温度”とご覧下さい。

    理由2
    遠くの天体から届く信号はとても弱いためノイズ(雑音)にうもれてしまいます。
    そのノイズをへらすため冷やすのです。
    ※詳しくは”信号とノイズ”をご覧下さい。

    理由3
    テラヘルツ研究グループでは超伝導体を用いた観測装置を開発しています。
    そのため極低温まで冷やす必要があるのです。
    ※詳しくは研究室紹介で
    ---------------------------------------------------

    ---------------------------------------------------
    ”信号とノイズ”
    ノイズ(雑音)ってなに?
    知りたい信号に影響を及ぼす、または誤作動を引き起こすような信号のことをノイズ(雑音)といいます。

    例えば・・・天文衛星を(使?)って
    ○○○○信号

    |ノイズがあると・・・

    観測!
    天体からの信号がノイズに埋もれて分からない!!

    ノイズの原因
    ・熱
    ・電場・磁場
    ・振動 etc

    ノイズ対策
    ・冷やす
    ・電場・磁場シールド
    ・etc

    ノイズ対策は観測装置を作るうえでとても重要です。
    ---------------------------------------------------

    ---------------------------------------------------
    ”波長と温度”
    波長と温度には下のグラフのような関係があります。
    グラフは波長が短いほど温度が高く、波長が長いほど温度が低くなることを意味しています。

    ○グラフ
    1K、10K、100K、1000K、10000K、3K
    横軸:波長(cm)
    縦軸:フラックス
    サブミリ波で最もよく見える
    ※↑横軸が1.00E-01、縦軸が1.E-095ぐらいのところを指しているのかな?

    サブミリ波で観測する時は、観測装置そのものを約-270℃まで冷やさなければ、見たいものを見ることはできません。
    ---------------------------------------------------
    2007.11.05 23:52 | URL | #195Lvy4Y [edit]
    ゆげ2号 says..."詳しい情報ありがとうございます"
    おお!波長と温度って関係あったんですか!知らなかった。
    ブログの文章内にリンク貼らせてもらいますね。
    2007.11.07 00:59 | URL | #PtTZI1rk [edit]

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