softtail.log | 自転車でのポタリング日記と自転車話+α

    ハンドメイド自転車の黄金時代 華麗なるフランスの旅行自転車たち(1号)

    久々に、なかなかページが進まない極上本に出会いました。
     

    1900年くらいから2000年くらいまでに製作されたフランスのハンドメイド自転車を50台、写真とその自転車にまつわるエッセイが綴られています。

    ダルマ自転車みたいなやつ(オーディナリー)から概ね今の自転車の形(セーフティ型)に自転車が姿を変えた1900年初頭をスタートにして、ブレーキや変速機が発達した(この本における)黎明期の30年。

    ほぼ現在の自転車の基本形が出来上がり、ひたすら洗練されていった次の30年。

    そしてモータリゼーションによって自転車の社会的な地位が落ちていき、大半の工房が姿を消していった中で、さらに趣味性を磨かれていった戦後。

    この本の中で今でも名前を聞く自転車メーカーは(1号の不勉強もありますが)「ルネ・エルス」と「アレックス・サンジェ」くらい。
    パーツメーカーだってかろうじて最後の方でTAが出てくるくらい。マファックなんてまだ前身のメーカーであるセキュリテという社名がかろうじて出てくる程度。
    カンパニョーロなんて、この世界では新興メーカーなんだな(おまけにフランスにとっては敵国だったんだから、そりゃ出てくるわけないか)。
    特に、戦前のハンドメイド自転車なんて変速機までハンドメイドなんてのも珍しくなかったみたいだし。


    もうひとつびっくりしたのが、戦前におけるハンドメイド自転車の技術革新は主にレースではなく、サイクリングを趣味とする人たちのニーズに牽引されていったということ。
    ツールドフランスなんて1903年から開催されてるんだから思いっきりこの本に描かれた時代と併走しているんだけど、レースの世界は長らく変速機が導入されなかったり、選手は同じレギュレーションの自転車を強要されたりしてたので黎明期にはそれほど自転車の技術革新に貢献しなかった、ということらしい。
    ちなみに当時のツールドフランスの話は「ツール100話」という本が面白かった。
    この本では当時、ツールを主催していたアンリ・デグランジュが秋元康ばりの悪趣味プロデューサー振りを発揮して選手に楽をさせないことを徹底した様子がたくさん書かれていて、なかなか興味深い。
    ついでに言うとそのレギュレーションに対しあの手この手の姑息な手を使おうとする選手たちも香ばしい。
    レースに興味ない人にも、この本もお勧めです。


    話が逸れた。
    まぁそんなわけで、レースでしのぎを削る選手やチームより、もっと楽に長距離を走りたいサイクリング志向のアマチュアのニーズが、今と大して変わらない10kg程度の(泥除け付き!)ツーリング車を生み出していったというのは結構びっくり。

    エッセイ部分ばかりじゃなく、写真もすばらしいです。
    特に、黎明期の個性的な、もう少しでダイヤモンドフレームと外装変速にたどり着けるんだけどなぁっていう歴史的ポジションの自転車が何台も紹介されていて、本当に見ていて飽きない。

    個人的には、1930年代~50年代くらいの車両の美しさが際立ったかな。
    いやぁ、全然ランドナー欲しい派でもアンティーク好きでもないのだけど、これはいい、と心底思った。


    ちょっと高いけど、この本は所有する価値あり、と思った。

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    Category : 自転車本書評
    Posted by ゆげ1号 on  | 0 comments  0 trackback

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