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    番外編 国立天文台野辺山特別公開 その7

    byゆげ2号


    電波ヘリオグラフについて飛ばしていたので、補足です。


    ■84の瞳 電波ヘリオグラフ ヘリオとは太陽のことで、電波ヘリオグラフは太陽を観測するための電波望遠鏡のことです。太陽なんて一番身近な恒星なんだから研究され尽くしているかと思いきや、光学での観察が難しいだけに、電波望遠鏡の技術の進歩によってようやく研究が進んだという面があるようです。まだまだわからないことがたくさんあったんですね。 45mとヘリオ
    奥が45m電波望遠鏡、手前にあるのが電波ヘリオグラフの一部です。立ち入り禁止区画であり、東西490m、南北220mにわたるT字型に84台のヘリオグラフが並んでいるということで、航空写真でも取らないと全景を把握するのは難しそうです(グーグルアースでは画像が粗すぎて全然見えませんでした。国家機密なのかも知れませんが(これだけ公開しておいて(笑))。45m電波望遠鏡から眺めるとこんな感じです。クリックして拡大してみると少しはみやすいです。
    電波ヘリオグラフ
    芸術の森のオブジェか、古代の宗教的建造物かといった雰囲気です。T字型で見たい方はこちらをどうぞ。詳しく知りたい方も。 野辺山電波ヘリオグラフ それから、敷地全体を俯瞰したのがこちらに。ヘリオグラフは小さすぎてかすかに見える程度ですが。
    野辺山観測所について


    電波望遠鏡の台数を無駄なく最大限生かすことが出来るのがこの布陣だそうです。この野辺山電波ヘリオグラフがすごいのは、太陽を100%見渡すことができること、超高速撮影が出来ることなどあり、世界で見てもトップレベルのようです。アンテナ口径と視野の広さは反比例するそうで(そうだったのか…)、この電波ヘリオグラフはその相反する広い視野と高い解像力を兼ね備えているのがすごいわけです。


    要するに、一台の電波望遠鏡で観察するには太陽は大きすぎるんですわ。針の先のような部分だけじーっと観察しても、他の部分では違う現象が起こっているかもしれないし、全体を一台で見ようとすると詳しいことがわからない。時間をかけて全体を見渡すことで補おうとすると、それではごく短い時間に起こった現象を観察するのが難しい、と。


    室内展示の方では、電波ヘリオグラフの試作品だったものを見ながら説明を受けました。パラボラアンテナは大きなお皿の方を主鏡、そこから3本の支柱で支えられている小さな円筒を副鏡というのですが、この副鏡部分、セラミック製だそうです。樹脂などいろいろな素材で試作したそうですが、他のものではうまくいかなかったそうです。


    で、これを作るのが大変で、まず原料の粉を大量に用意して、粒のそろっている良質なものだけを選り分ける。で、成型して焼くのですが、出来のよいものしかヘリオグラフの副鏡には使えないので、焼き終わったところでまた選り分けなければならない。厳しいですね(「わしの求める副鏡はこんなものではなーい!」バリーン!「は、半角斎先生…」みたいなことを想像している)。地方の小さな陶器業者が請け負ったそうですが。


    また、電波ヘリオグラフは17GHzと34Ghzという2種類の周波数の電波を仕分けて受信するため、主鏡側の面に金のメッシュがついています。これは拡大するとエルサレムクロスという形で”I”の字を二つ直角に組み合わせた形をしています(もしくはタイガースのマークに横棒一本足す)。このメッシュは印刷したものを副鏡に焼付け(素焼きした後、釉薬をつけてもう一度焼くような感じ)しているそうです。これだけの手間と技術で作られた電波ヘリオグラフですが、寿命はあと5年くらいとのことでした。


    そのほか、帰ってきてから調べてわかったことを少し。(野辺山電波ヘリオグラフ よくある質問集 野辺山電波ヘリオグラフ 装置に関する詳しい質問集 より)


    ○80cmという口径は太陽の2倍の範囲を視界に納められるということで決定されたとのこと。太陽表面から数10万kmの高さに達するプロミネンスとかも観察しないといけないですからね。『アンテナ口径と視野の広さは反比例する』のですから、小さいことに意味があるわけです。


    ○84台というと多いように感じるが、データ処理の段階で補うことが出来る部分を省き、一番効率的に配置して84台で抑えているとのこと。本来なら570台必要だそうです。高速撮影可能ということもあわせて考えると、電波ヘリオグラフによる観測は、計算機の進歩なしでは考えられないですね。


    ○電波ヘリオグラフの受信機は冷却していない。ちょっとがっかり。ある程度感度のいい受信機は必要だが、アンテナ数が多いために費用と保守の労力が大変なことになるので、常温の受信機で現在の最高レベルの低雑音受信機を使用しているそうです。


    以上で、2007年度国立天文台野辺山特別公開は終了です。いやー気がついたら会場時間から閉場時間までずっといました。時間が足りなかったくらい楽しかった。


    それにしても、各コーナー担当の皆さん、説明するときは老いも若きも瞳が輝いていて笑顔がまぶしかったですねぇ。自分の仕事に大いなる興味を持って、一心不乱にやっているという自信と自負にあふれており、聞いているこちらの心が洗われるようでした。こういう方々が50年先、100年先の科学を支えているのだなと頭が下がる思いです。


    というわけで、長いようで短かった国立天文台野辺山特別公開。最先端の天文学研究に触れることが出来て、大変刺激的な一日でありました。興味が出てきたので、これからも時々お勉強しようと思います。来年の特別公開にもっと核心を突いた質問が出来るように。いや、その前に三鷹の天文台で10月27日(土)に特別公開があるなあ…。

    【11/23追記】天文台三鷹キャンパス特別公開のレポートはこちら
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-87.html

    ■おまけ なぜアフガン? 日が暮れてきて、さすがにお腹がが空いてきたので、帰りに該当者氏お勧めのカレーを食べに清里のヴィラ アフガンへ。英国風カレーなのになぜアフガンなのかはわかりませんが、牛の骨やら、鹿の頭部やら、ホワイトタイガーの毛皮やら、そのほかいろんな国のみやげ物っぽいものやアンティークが360度壁を埋め尽くしており、英国らしいといえば、英国らしいかなあと(大英博物館のイメージ)。


    該当者氏とゆげ1号はアフガン名物のベーコンエッグカレー、ゆげ2号は数量限定の和牛すね肉煮込みカレーを注文。ベーコンエッグカレーはこちら。カレーは奥のポット。 ベーコンエッグカレー
    すごいボリュームです。ベーコンが大きいのにやわらかくておいしかったそうです。すね肉煮込みカレーもやわらかくてボリュームがあり、おいしかったです。


    このあたりは野菜や乳製品もおいしいらしいので、また別の機会にも来たいものです。


    最後に該当者氏へ。往復○時間もの車の運転、お疲れさまでした。あらためてゆげ1号・2号よりお礼申し上げます。ありがとうございました。また何か面白いことがあったら誘ってください。こちらも誘いますんで。


    その1 ■ミリ波干渉計 アンテナ大移動! http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-57.html


    その2 ■東大60cm電波望遠鏡コーナー http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-58.html


    その3 ■復元!200MHz電波望遠鏡 http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-60.html


    その4 ■大きいぞ!45m電波望遠鏡 http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-61.html


    その5 ■夢の望遠鏡ALMA http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-62.html


    その6 ■未来にはばたけ☆東北大ボロメトリック天体干渉計 http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-63.html


    その7 ■84の瞳 電波ヘリオグラフ ■おまけ なぜアフガン? http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-64.html


    ペルーの電波望遠鏡を支援する会について
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-66.html

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    Posted by ゆげ1号 on  | 3 comments  0 trackback

    3 Comments

    該当者 says..."忘れられぬその姿"
    どうもお疲れ様でした。当日は結構早めに渋滞が発生するという予想が出ていたので急に集合時間を早くしたりどたばたしましたが無事開始前に間に合いよかったです。
    さて、ほとんど語りつくして頂いていますが一人忘れてはいけない人がいます。
    それは、、、10mアンテナ移動の指揮を執っていた”百式”さんです!!
    誇らしげに双肩の"百"の字を見せている姿は今でもはっきりと覚えています。

    今度は特別公開ではなく野辺山を走りましょう!
    #今回はあくまでも下見ということで。。。でも来年もスケジュールが会えば行きましょう。
    2007.09.10 02:53 | URL | #mQop/nM. [edit]
    ゆげ(1号) says..."うがぁぁぁ漏れたぁ!"
    そうでした。

    「野辺山の百式」 さま

    きびきびとした作業と、「百式」という文字により、ゆげ1号(多分2号も)の視神経上ではその作業服も重厚な金色に脳内変換されてました。

    貴方の正体は?やっぱり偽名を名乗って野辺山に紛れ込んでいるのですか?(妄想暴走モード)

    あのスタッフさんの正体、気になる~どなたか教えてください(笑)
    これって関係ないですよね(笑)
    http://www.nao.ac.jp/A_Report/A_Report_2004_J/hairaito.pdf
    今度は自転車で野辺山ですね、是非。
    2007.09.10 23:50 | URL | #- [edit]
    ゆげ2号 says..."すっかり抜けてました"
    言われて思い出しました。どもです>該当者氏

    いましたねぇ”百式”氏。え、金色だったよね?中の人、桑登呂さんでしょ?
    ブログの内容とは関係ないけれども、百式を調べたらおもしろかったので
    一応あげておきます。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E5%BC%8F_(%E6%A9%9F%E5%8B%95%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A0)

    ナイト・オブ・ゴールドにも関係してるらしいよ>ゆげ1号

    野辺山、自転車で走りたいですねぇ。体力つけとくので、ぜひ誘って
    ください。運転が大変なので、レンタカーで。
    2007.09.13 11:38 | URL | #ZNgAeEmQ [edit]

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