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    番外編 国立天文台野辺山特別公開 その6

    byゆげ2号


    続きです。


    楽しかった国立天文台野辺山特別公開もあとわずか。そばを通っただけで見ていないところがまだありました。10mミリ波干渉計の近く、ここにも業務用冷蔵庫のような観測装置が。


    ■未来にはばたけ☆東北大ボロメトリック天体干渉計
    すいません。担当者の方はいろいろお話してくださったのですが、難しくてよくわかりませんでした。「レンズで覗くとひとつの点が二つに見えたりするでしょう?重力レンズという現象があって、宇宙でも同じことが起こっているんですよ」というようなところまではなんとかついていけたのですが…。そういうわけで、かなり不正確ですが覚えている範囲で。


    ボロメトリック天体干渉計とは、宇宙背景放射を観測することを目的とした次世代観測装置です。宇宙背景放射とはビッグバン(宇宙創世の元となった大爆発)の名残の電磁波のことで、特にどの星からというのではなくて、宇宙にまんべんなく放射されています。


    他の電波望遠鏡コーナーで「観測の精度をあげるには、いかに宇宙背景放射等のノイズを取り除くかがひとつの鍵」というような話を聞きましたが、ここではその宇宙背景放射そのものを観測対象としているわけです。宇宙背景放射について、2020年か2025年にNASAが本格的な観測を始めるらしいのですが、ここではそれまでに観測手段の研究をするという側面もあるようです。


    …ここまではたぶんあっていると思うのですが、肝心のどうやって観測しているのかがよくわかりません。なんせ、次世代の観測装置なんで、まだ「こんなことがわかりました!」という段階ではないようなんですね。説明書きが展示されているのですが、ゆげ2号の能力の限界を超えていて、何度読んでもわからないし、わからなすぎて質問も出来ない状態。すっきりしませんが、仕方ありません。そのうち野辺山天文台のHPで概要を掲載してくださることを切に願います。


     しかし、ここで引っ込んではもったいない。今日説明に当たってくださっているのは、基本的に技術者か博士(もしくはその卵)のいずれかで、そんな専門家の方に直接質問できるなんて機会はまずありません。しかもみなさん、こちらの素人丸出しの質問にも懇切丁寧、笑顔で答えてくださるのです。これは例の質問をしなければ。液体ヘリウムの謎を。


    「あの、ここではヘリウムジャボ漬けやってるんですか?」


    …とはさすがに聞けなかったので、
    ゆげ2号「ここでも超伝導の受信機を使っているんですよね?ずいぶん装置が小さく見えますが、ここでも4K(ケルビン)まで冷やせるっていう冷却装置を使っているのですか?」


    担当者氏(博士)「あ、ここでは0.6Kのものを使っているんですよ」


    ええ!なにその温度!4K=-269℃(もう覚えてしまいました)でも超低温と思っていたのに。0.6Kってことは K = C + 273.15  で、絶対零度(が0K(ケルビン)だから、えーと、-272.55℃ ?!


    考えるに、他の電場望遠鏡では微弱な宇宙背景放射等をノイズとして取り除ければいいので、精度は4Kの装置でも充分なのでしょう。しかし、ここではその微弱な宇宙背景放射そのものが研究対象なので、より精度が高いものでなくては困るわけですね、きっと。


    ゆげ2号「0.6Kなんて、そんな装置が売ってるんですか?」
    担当者氏「いや、自分で作ったんですよ」
    ゆげ2号「え、作れるものなんですか?」



    担当者氏「正確に言うと4Kの装置を自分で改造したんですけど。えーとですね、超伝導の技術が実用化されたものとしてMRI(病院の検査項目のひとつ)があるのですが、そちらでは4Kの冷却装置を使用するんです。医者は資金が潤沢ですし、メーカーも作れば売れるというので、4Kの冷却装置はずいぶん手に入りやすくなり、我々天文学者も研究がやりやすくなったわけです。」


    「しかし、天文学者としては精度を求めるために0.6Kの装置がほしいと思っても、天文学者は貧乏なのでメーカーは作ってくれない。だから、自分たちで作るんです(笑顔)。普通のヘリウムだと4Kまでしか下がりませんが、ヘリウムの同位体を使うと0.6Kまで冷却できます。技術的には今、0.3Kまで作れますよ。」



     す、すごい…。そこまで自分で作るんですね。星を眺めて記録して考えるのが天文学者のお仕事だと思っていたら、それに必要な観測装置の設計・開発まで行っているとは。おかげで液体ヘリウムの謎が解けました。あとですね、蒸発したら継ぎ足さなければならないヘリウムジャボ漬けとは違い、これらの超伝導を利用した観測機器ではヘリウムを循環させて使用しているとはいえ少しは漏れたりするらしいので、ときどき装置にヘリウムを足したりするらしいですよ。


    記憶を確認するために、後でいろいろネット上の資料をあさったのですが、面白いものをいくつかあげておきます。興味があればどうぞ。


    ウィキペディア『高温超伝導』
    高温といっても「液体ヘリウムよりは」という意味なので、-200℃~-100℃を指すそうです。充分バナナで釘が打てる温度です。面白すぎます。


    超伝導を支える冷却技術
    超伝導コイルに超流動ヘリウム、特撮物の必殺技みたいですね。


    動く!望遠鏡のペーパークラフト
    一押しです。ぜひHPを見に行っていただきたいのですが、やたら精密です。国立天文台の職員の方が忙しい仕事の合間に作られたそうです。細かい上に動くなんて…。そのかわり難易度はほとんどが熟練者レベル。
    高校ぐるみで学生が見学に来ることもあるそうなので、クラスで手分けして電波ヘリオグラフを作るってのもいいかもしれませんね。で、Tの字に並べるんですよ、84台。
    あと、各電波望遠鏡の豆知識も載っているので、とりあえず読むだけでも面白いです(電波ヘリオグラフの副鏡には周波数分離のためにエルサレムクロス型パターンを使っている、など)。
    個人的には10mミリ波干渉計と移動台車を作ってくださるとうれしいです>職員の方。もちろん大亀と小亀が分離するのを。


    あ、ここまで書いて気づきましたが、電波ヘリオグラフのことを書いてませんでしたね。すっかり抜けていました。今回で最終回にしようと思ったのに…。えーとあともう少しだけ続きます。


    もちっとだけ続く


    その1 ■ミリ波干渉計 アンテナ大移動!
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-57.html


    その2 ■東大60cm電波望遠鏡コーナー
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-58.html


    その3 ■復元!200MHz電波望遠鏡
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-60.html


    その4 ■大きいぞ!45m電波望遠鏡
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-61.html


    その5 ■夢の望遠鏡ALMA
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-62.html


    その6 ■未来にはばたけ☆東北大ボロメトリック天体干渉計
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-63.html


    その7 ■84の瞳 電波ヘリオグラフ ■おまけ なぜアフガン?
     http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-64.html


    ペルーの電波望遠鏡を支援する会について
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-66.html


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