softtail.log | 自転車でのポタリング日記と自転車話+α

    番外編 国立天文台野辺山特別公開 その5

    by ゆげ2号


    続きです。


    ■夢の望遠鏡ALMA

    講演前にペルーのインカコーラをちびり(黄色くてあっまい)。ペルーコーナーで、南米ペルーにペルー初の電波望遠鏡を誕生させるための計画の紹介、及びそのための募金活動の紹介を行っており、そこから該当者氏がもらってきてくれたものです。寸志ですが、我々も募金して来ました。興味のある方はペルーの電波望遠鏡を支援する会へ。一口千円からですよ。


    そうこうしているうちに開演時間。講演題目は「砂漠放浪記 夢の望遠鏡アルマへの道」
    この「アルマ」というのは南米アンデス山脈の高地、標高5000mを越すアタカマ砂漠の中に建設中の、超巨大電波望遠鏡の名前です。高地にある砂漠ということで、乾燥していて空気がきれいで電波が少ないという、電波望遠鏡の観測環境としては申し分なし。


    しかし、「夢の」というのはその恵まれた環境を指すのではありません。以前の回に「複数の電波望遠鏡のデータを集めることで、巨大な電波望遠鏡に匹敵する性能を発揮する」というようなことを書きましたが、アルマは合計80台の干渉計を山手線くらいの広さに配置する計画なのです。スケールでかすぎです。


    その後、クイズの回答がてら展示を見てまわるなか、アルマのジオラマを見たのですが、たたみ2畳分くらいの広さに干渉計の模型がぎっしりと並んでいて圧倒されました(ちなみにスケールの大きさで言うと、人工衛星を利用して地球より大きな電波望遠鏡をつくろうという計画もあります。VSOP-2といい、名前からしてリッチです)。


    で、それでいったい何を調べるのか。宇宙人探し…と思ったあなた、ゆげ2号と同世代かそれ以上ですね。残念ながらすでに研究のトレンドから外れているそうです。電波望遠鏡の登場以前、今まで星の海の中で暗いところは何もないと思われていました。ところが、電波の観測によって、暗いところにも物質があり、さらに高感度のもので調べることによりその成分や量がわかるようになってきたのです。そのことにより、様々な新発見が期待されているそうです。


    まず、ブラックホール。光さえ飲み込むというアレです。当然光学では見えません。ですが、物質がブラックホールに飲み込まれるときに電波を発するため、それを受信できればブラックホールの研究が進むそうです。


    次に宇宙空間の物質、星間分子の成分や量がわかれば星の成り立ちを知る上で重要な手がかりになります。


    そしてもうひとつは、意外や意外、生命の成り立ち。普通に考えれば「それは顕微鏡で調べるもんじゃないの?」と思うので不思議です。空を見上げて(実際にはパソコンを覗き込んで)研究できるってのがおもしろいですね。しかし、どうやって?


    その説明にはまず星間分子の説明をしなければなりません。以前から幾つかは見つかっていたのですが、電波望遠鏡の進歩により新たな星間分子の発見が相次いだそうです。大部分は水素なんですが、他にも一酸化窒素とか酸化鉄、塩化ナトリウムなどおなじみの化合物が見つかりました。しかし、そこは宇宙という特殊空間、全然おなじみじゃない分子も多数見つかったのです。


    野辺山の45m電波望遠鏡が発見した星間分子をいくつかあげると、
    CCCCSi CCCO HCCCNH+ HCCCOH など、なんじゃそりゃというような組成。
    (余談ですが、今までに発見された星間分子の中で一番長いのは
    HCCCCCCCCCCCN  だそうです(笑))


    ゆげ2号の化学知識は高校生レベルなんで自信ないですが、おそらく地球上でそんな組成はありえないはず(聞いてみたら、実験室ではなんとか確認されているらしい)。宇宙空間は超低温かつ真空なので、地球上とは異なる反応で化合物が出来るためのようです。


    で、その分子の中にはホルムアルデヒドなどの有機化合物も見つかっているそうで、もしかしたら複雑なアミノ酸も偶然生成されているかもしれず、そうすると、それが生命の元になったかもしれないわけです。夢がある上に説得力のある話ですね。しばらくニュートンとか読まなくなってから、時代は進歩したんですねぇ(しみじみ)。


    話は変わって。今まで『超伝導を起こすためには超低温にしなければならなくて~』とか『ヘリウムジャボ漬けとか言ってきましたが、ゆげ2号、大事なところが抜け落ちていました。それは「超伝導の技術がどうして電波望遠鏡に必要なのか」です。


    はじめ「電波観測に超伝導の技術が不可欠なのでは」と思い込んでましたが、日本初の電波望遠鏡が1945年に作られたということは超伝導は直接関係ないんですよね。超伝導の技術の実用化なんてせいぜいここ10年の話ですから。


    では、なぜわざわざコストの高い超伝導の技術が必要なのか?講演後、電波望遠鏡クイズに挑戦したりしてようやくわかったのですが、ミリ波とかサブミリ波ってのはあまりにも微弱なため、受信機などがだす熱ノイズにさえ邪魔されてしまうのです。そのため必要なのは高感度で低雑音な受信機、それが超伝導(SIS)受信機というわけですな。あーやっとわかったー。


    それに引き換え、前述した日本初の電波望遠鏡、観測する波長の長さが1.5mですから、おそらくそんな大層な受信機がなくても観測できたわけです。ゆげ1号はなんとなく理解していたようですが、化学知識が高校レベルのゆげ2号にはあんまりよくわかってなかったんで、ちょっとすっきり。まあ、まだ液体ヘリウムの用途の謎は解けていないんですよね。


    とはいえ、特別公開も残りわずか。それまでに謎が解けるといいんですが。


    次は東北大ボロメトリック天体干渉計コーナーへ。つか、ボロメトリックって何?


     続く


    その1 ■ミリ波干渉計 アンテナ大移動!
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-57.html


    その2 ■東大60cm電波望遠鏡コーナー
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-58.html


    その3 ■復元!200MHz電波望遠鏡
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-60.html


    その4 ■大きいぞ!45m電波望遠鏡
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-61.html


    その5 ■夢の望遠鏡ALMA
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-62.html


    その6 ■未来にはばたけ☆東北大ボロメトリック天体干渉計
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-63.html


    その7 ■84の瞳 電波ヘリオグラフ ■おまけ なぜアフガン?
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-64.html


    ペルーの電波望遠鏡を支援する会について
    http://softtail.blog103.fc2.com/blog-entry-66.html

    関連記事
    スポンサーサイト

    Posted by ゆげ1号 on  | 0 comments  1 trackback

    Leave a reply






    管理者にだけ表示を許可する

    Trackbacks

    trackbackURL:http://softtail.blog103.fc2.com/tb.php/62-8db25b23
    ALMA) は、チリ・アタカマ砂漠に建設中の、次世代大型電波望遠鏡である。2002年から建設が始まっており、完成予定は2011年であり、運用開始予定は2012年となっ
    該当の記事は見つかりませんでした。