softtail.log | 自転車でのポタリング日記と自転車話+α

    ロケットまつり42で思った三つのこと(おまけつき)

     先週日曜日、該当者氏と一緒に新宿ロフトプラスワンで開催された「ロケットまつり」というトークイベントに行ってきました。
    このイベント、宇宙作家クラブが主催し、毎回宇宙関連のゲストを招いてぶっちゃけトークを繰り広げるというもの。
    初めてこのイベントに参加したのは9/11に三鷹で開催された「出張版」(いけね、この話書いてないわ・・・)。 

     今回のサブタイトルは~星に触れる男、はやぶさPM・川口教授 登場~
    はやぶさでおなじみの川口教授を称して「星に触れる男」とはなんとも気が利いたコピーではないか。

     ということで、初体験の本拠地(?)ロフトプラスワン。
    会場18時/開演19時。

    勝手のわからぬ1号:事前に軽く飯でも食っていった方がいいかなぁ
    該当者氏  :いや、会場で食事もとれるから大丈夫ですよ 

    R0010283.jpg

     ・・・いや、無理ですよこれ。
    チャーハンとか頼んで、こぼしたら大災害だ(笑)

     「普段のロケットまつり」はもう少しこじんまりとした人数で開催されるので、ちゃんと客席にテーブルなんかも用意されているので飲食も可能なようですが、今回はゲストがねぇ・・・
     
     で、肝心のイベントの中身ですが、こちらのtogetterに実況モードでまとめられてます。
    こちらをご覧ください(手抜き)
    http://togetter.com/li/73667
    http://togetter.com/li/73664
    すごいね、みんな話し聞きながら実況してる(softtail_logのツイートも一部引用されてます)。 

    R0010286.jpg
    イベントはまぁこんな雰囲気で進行。


     あと、開田裕治氏からはやぶさのイラストが川口教授にプレゼントされ、そのイラストがとても美麗だったのですが、休憩時間にとったそいつの写真は思いのほかしっかり写りすぎていたので、なんとなく載せるの自粛。
    ポストカードも販売されていたのですが、休憩時間に少し遅れて売り場まで行ってみると、しっかり売り切れ。
    「こんなにお客さんいらっしゃると思わなかったんで、14部しか持ってこなかったんですよ~」
    そりゃ、秒殺もやむなしか。


    #ちなみに後日、奥様の開田あや様からtwitterで「後日ホームページでも通信販売できるようにします~」とわざわざ教えていただきました。
    ありがとうございます。
    ホームページはこちら。 


     で、とにかく盛りだくさんな3時間だったわけなんですが・・・実況的なものは上記のリンクを見てもらったほうがよいかと思うので、今回はあえて、1号の心に特に残った三つのことにざくっと刈り込んで書いて見ようと思います。


     ひとつめ。

     「科学的な目標」を中心に据えるのではなく「技術」を中心においてその範囲内で科学を追及すべし、という話。
    現実にできることと目標との乖離が発生したときに、「目標」に固執してしまうと結局技術が追いつかずに失敗してしまう。
    だからまず技術を育て、その持ち駒のなかでできる科学を追求すべし、という話。

     ゆえに、はやぶさプロジェクトというのは「小惑星イトカワの欠片を持って帰ってきた」ことが重要なんじゃなく、「持って帰ってこれそうな技術」をちゃんと磨いて完成させたことが一番の成果なんでしょうね。


     ふたつめ。

     その、はやぶさで磨かれた技術が、次のサイエンスに活かされるという話。
    川口教授の言葉で個人的にもっとも強烈だったのが、

    「本当に欲しいのは、その先にある、氷漬けにされた小惑星。そこはいわば、太陽系の冷凍庫なわけで、そこにタンパク質が有るか無いかを調べてくるのは生命の起源を探るという意味で、本当に重要。」
    「イトカワなんてねぇ、言ってみれば太陽にこんがり焼かれてしまっているんですよ。」
     
     ・・・この言葉の意味がなんとなく自分の中に落ちるまで、ちょっと時間が必要でした。
    この人、すでに「はやぶさ2」しか見てないわ。

     講演会で全国飛び回り、メディアへの露出も多く、12月には本も出版。
    この実績と知性を感じさせつつ抜群に面白い話術。
    絶対自民党も民主党も次の選挙で候補者として狙っているに違いない(あくまで1号の戯言ですよ念のため)。
    今回を自分のキャリアの総決算にしても良いくらいの実績。

     でも、少なくとも大衆的には成功の象徴であろう「イトカワの微粒子」を「こんがり焼かれてしまっている」なんて言い捨ててしまうのは、ちょっとカッコよすぎました。
    いくら酔っ払っているとはいえ。

    #もちろん「こんがり焼かれて」いても、地球に突入してくる隕石なんかとはまったく質が違うわけで、サイエンス的な成果は十分あるのってのは大前提。
    #まぁその前に「イトカワまでたどり着いてランデブーして観測」ってだけで観測結果がサイエンス誌に掲載されるんだから、客観的なサイエンス的意義が十分大きいのも織り込み済み。


     みっつめ。

     じゃあ、そのはやぶさは日本の優れた技術によって作り上げられた「技術の結晶」なのか。
    川口教授、あっさりと「アメリカより10年以上遅れている」と。

     特に挙げていたのが「温度設計」と「通信技術」。
    探査機から発生する熱と、冷やされ、炙られる表面。そのあたりの具合を上手いこと計算して探査機全体の温度を最小限のエネルギーで適切に保つような設計が日本では全然できてない。
    通信技術だって、はやぶさのトレードマークみたいなパラボラなんか、アメリカが作ればもっと小さかったはず。
    だから、日本ももっと技術を磨いていかなくてはならない。
    そのためには継続的に開発を続け、少しずつできることを増やしていく必要がある。
    今みたいな散発的な開発では、正直厳しいが。


     どこぞの通信系SI企業からはやぶさの製造メーカーに転職し、どーかんがえてもおまえはやぶさに何にもかかわってないだろ的なおっさんが「はやぶさが帰ってこれたのはいろいろ言われているが一番は通信がどんなときにも確保できていたことが一番の功績だ」なんて講演会でしゃべってたらしい(該当者氏情報をパクリました)が、ちょっと聞かせてやりたい(笑)
    本当に関わった人たちは、決してこんなこと言わないんじゃないかと。


     つくづく、川口教授は「終わったこと」にあまり拘ってないんだなと感じさせられました。

     いやぁ、行ってよかった。
    ちょっとやる気出た。



    おまけ:
    川口教授の言葉の中で何度も出てきた言葉。
    「~を押しのけて」

    他のプロジェクトを「押しのけて」はやぶさ載せたロケット打ち上げ、
    他の案を「押しのけて」でもはやぶさには最後に地球の写真を取らせたくて・・・etc

    他にもあったような。

    どんだけ負けず嫌いなんだ(笑)
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    Posted by ゆげ1号 on  | 5 comments  0 trackback

    5 Comments

    該当者 says...""
    >つくづく、川口教授は「終わったこと」にあまり拘ってないんだなと感じさせられました。

    やっぱり
    「高い塔を建ててみなければ新たな水平線は見えてこない。
     未来とは未だ来ぬもの。でも待っていても来ない。
     未だ来ぬものは水平線の彼方にある。」
    ということなんでしょう。

    まー、これは山とかに置き換えるともう少し実生活に置き換えられるかも。
    研究者とかはエベレストを目指し登頂し新たな地平線をみることを目指すでしょうし、我々一般人は富士山を目指し登頂し新たな地平線を見ることを目指すという感じ。みんながエベレストは目指すことはできないけどそれぞれに新たな水平線を見る努力をすればたぶん社会全体としては凄く大きく前に進むと思っています。


    >どこぞのおっさん
    まー、悪気はないだろうし、その会社にいることに誇りを持ちたいのかもしれないですが、それを講演会で使うのはね。。。
    いや、まー、よくいろんな会社のそれなりに上の方にも講演しているようなので日本の宇宙開発の啓蒙に寄与している考えればそれはそれで結果的にはありかもしれませんが。
    でも「あんたは 全く 関わってないだろうし、どうせ帰還の時まで はやぶさ の存在すら知らなかったんでは?」という思いはやっぱりあるんですがね。
    2010.12.04 00:09 | URL | #195Lvy4Y [edit]
    ゆげ1号 says...""
    >みんながエベレストは目指すことはできないけどそれぞれに新たな・・・

    むむ、至言だ。
    この言葉、覚えておくわ。
    で、悪いけどどっかで使わせてもらうわ(笑)
    2010.12.04 01:41 | URL | #JalddpaA [edit]
    該当者 says..."昔は"
    > みんながエベレストは目指すことはできないけどそれぞれに新たな・・・

    これって明治の「文明開化」期や昭和の高度経済成長期には日本国民のほとんどがここまで明確な意識を持たなくても何となくそういう意識で前に向かって進んでいたんだと思うんですよね。
    それが今は。。。やっぱりある程度の生活水準に国民の大多数(国民総中流)が来てしまい、一度は世界一、二の「経済大国」なんてもんになってしまって満足してしまったということですかね。。。

    ふと戦後世界一の大国の米国はどうそれを維持してきたか?ということを考えると川口教授が言っているように「我が国は世界で一番でその国に住んでいる我々は誇るべき」という教育を徹底しているというところが生きているのかなと。あとは内国での格差がある(且つそれを積極的に格差是正をしない)ことで上を目指す意識形成をしているのかなとか思ったりしています。

    このように格差があることが人としていいのかはわかりません。ただ国家としての活力という側面では少なくとも今のところはいい方向に進んでいるように見えます。
    文明は進むかも知れないですが、文化は育たないような気もしますし、なかなか難しいな~と思う今日この頃です。
    2010.12.04 12:06 | URL | #195Lvy4Y [edit]
    says..."管理人のみ閲覧できます"
    このコメントは管理人のみ閲覧できます
    2010.12.04 15:20 | | # [edit]
    ゆげ1号 says..."こんな話もある。"
    町山智浩氏の著書「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない
    」他を読むと(今度貸しますね)、プアホワイト層やド田舎層の人々がどれだけ将来展望も無く人生を歩んでいるか、読んでて恐ろしくなります。

    多分、何もできない人には何も与えず、低雑音受信機を作れる人にはその価値をちゃんと評価するのがアメリカなんでしょうね。
    それが「アメリカ出身者」であろうと「海外からの留学者」であろうと。
    アメリカでの博士号取得者の半分以上は国外出身者らしいし。

    ちなみに町山氏の本とは別だけど、アメリカって人口の年齢分布が非常に整っているらしい。これが発言力や経済力を特定の年齢層に集中させず、高い国力の源のひとつなんじゃないかって思ってます。
    2010.12.05 16:24 | URL | #JalddpaA [edit]

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