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    2010 JAXA相模原キャンパス特別公開 その7~展示いろいろ

    by ゆげ2号

     JAXAの話を長々と書いている間に、丸の内オアゾでヒートシールドやカプセルを見たり、野辺山天文台の特別公開に行ってしまいました。ネタはたまっているのですが、その前にJAXAの展示の話をもう少し。

    ○探査ロボット
    22月面移動ロボット.JPG
     開発中の、月面探査を想定したロボットだそうです。一目見て、もう「かーわーいーいー(はぁと)」ですよ。たまりません。目(カメラ)がふたつ、足(キャタピラ)がよっつあるところとか、なんか生き物っぽいですよね。三角形のキャタピラがまたいい!このあと、他のチームが作った探査ロボットも見ましたが、私としてはこっちがおすすめです!

     説明員の方にお話を聞いてみると、プログラミングでロボット自身がある程度判断して動き回れるようになるそうです。自動でサンプルを集めたりとか、障害物があれば迂回したりとか。それができれば、このロボットだけ月に行かせて、探査できますもんね。それで、対象物との距離を測るためにカメラが二つついているわけですね。はやぶさとなんか似てます。

     ただ、すべてロボットが行うのではなく、判断に困ったときは「どうすればいいの~?」と聞いてくるので、月面地図で現在地を確認して、地球から指示を出すことも出来るそうです。ここで、月周回衛星かぐやが調べてきた、NASAの10倍!詳細な月面地図が役に立つんですね。

     開発で難しい点をお聞きしたところ、月面は細かい砂で覆われており、厳しい温度差や重力など地上とは異なるため、そのような環境でも問題なく動き回れるようにすることだそうです。確かに、砂地にはまって身動き取れなくなっても、月面じゃJAF呼べませんからね。それにしても、ほんとにかわいい。動き回るところが早く見たいなーと思いました。

     かぐやの次世代機、SELENE-2にはこれが乗っかるようです。

    ○ソーラー電力セイル実証機IKAROS(イカロス)
    20イカロス.JPG 
    ↑ これは模型

    ↓ 帆の部分4分の1。でかい!
    27イカロス4分の1.JPG

     宇宙凧とでも言えばいいのでしょうか。太陽の光の力(太陽光圧)を、その大きな帆に受けて進むのがイカロス君です。更に帆の一部には薄膜の太陽電池が貼り付けて、発電までやっちゃおうというエコなやつ。遠くの宇宙へ行くには、積み込む燃料が少ないに越したことはないので(その分観測機器を積めるし、総重量も軽くなる)、太陽の力という現地調達できるエネルギーが利用できれば、少なくとも太陽の光が届く範囲では燃料を大幅に節約できますから、すごいんです。まあ、姿勢制御に太陽光圧を使う(ガス噴射も併用)という実証については、はやぶさにちょっと先を越されてしまいましたが。

     さて、このイカロス君、打ち上げ時には帆を小さくたたんでおり、宇宙に出てから大きく広げるという方法がとてもユニークです。はやぶさと比べると4倍は大きいイカロスなのに、うまく広がるようによくできるんですよ。
    21イカロスプロトタイプ.JPG 
    ↑ プロトタイプですが、たたんでいるときはこんな感じ。蛇腹にたたまれた帆が巻きつけられて収納されています。 あれだけ大きな帆がこんなにコンパクトになるんですから、どれだけ薄い膜なのかがわかりますね。

    <詳しい話はこちら
    http://www.jspec.jaxa.jp/ikaros_cam/j/03.html

     どうやって、このたたみ方がベストだとなったのか、解説員の方にその開発についてお聞きすると、

    解説員「とにかく、みんなで来る日も来る日も、折り紙を折り続けたんです。もう『俺たち、なにやってんだろう…』ってくらい、いくつも試作品を作っては試し、そのあとは、もっと大きなものを作って、帆が小さくたためるかとか、うまく広がるかを試し…、試作品は20以上つくったかなあ…(遠い目)。データをパソコンに入れてシミュレーションもしましたが、どうしても不確定な要素があって、実際に実験してみないとわからないんですよね。で、結局この形に落ち着いたんです。でもね、このやり方を考え付いた奴が偉いんじゃないんです。みんなで知恵を出し合って、改良を重ねて出来上がったものなので、全員で作り上げたものなんですよ!!」

     熱い!この人も熱いぜ!と、思っていたら、該当者氏がまたもや横でボソッと、

    該当者氏「今、説明している方、イカロスのプロジェクトマネージャの森さんですよ。」
    ゆげ2号「だーかーらー、なんでそんなに覚えてるんだあ!」

     話の続きですが、実際この形に決まった後も、絡まらずにうまく広げるためには、どの程度の速さで回転させればいいかとか、かなり検討されたそうです。ただ、はやぶさのイオンエンジンが注目されたおかげで、「も、これでいいじゃん」てな感じで、そのほかの方法の検証がおろそかになるのが懸念されているよう。たくさんアイデアあるみたいなので、がんばっていただきたい!

     <イカロスプロジェクトのHP イカロス専門チャンネル
    http://www.jspec.jaxa.jp/ikaros_channel/ >
     
    ○ポリイミド樹脂

     はやぶさもイカロスも表面が金ピカだなあ、なんでかなあ、と思ったことはないですか?JAXAが成金趣味だから…とかではなく、あれはポリイミド樹脂というものの色なんですね。これが開発されなければイカロスは作れなかった、というくらいすごいものなのです。解説員の方に伺ったところ、

    解説員「このポリイミド樹脂というのが薄くできて、大変丈夫なんです。紫外線や放射線、急激な気温変化などの宇宙の厳しい環境にも10年以上耐えるとされており、宇宙で使える唯一の素材といわれています。このポリイミド樹脂が黄色くて、裏にアルミを蒸着して使うので金色にも見えるんですね。けして、豪華に見せたいからとかではなく。だから、将来ポリイミド樹脂に代わって、新しい物質が開発されたら、その色しだいで、青い色やピンク色の衛星が宇宙を飛ぶことになるかもしれません。」

     ピンクの衛星…らぶりーですね。

     このポリイミド樹脂、いままでのものは張り合わせるの接着剤を使っていたそうです。しかし、接着剤を使うと、せっかくポリイミド樹脂が丈夫なのに、その接着剤そのものが劣化しやすかったり、接着剤の分重くなったりと問題もありました。しかし、ISASで新しく開発されたものは、熱を加えるとくっついてくれるので、接着剤いらず。使い勝手がたいへんよくなったとか。

     はやぶさとか、イカロスとか、つい完成したものばかりに目が行ってしまいますが、こういった基本的な研究開発がそれを支えているんだなーと思いました。

    ○電気推進ロケット(イオンエンジン)

     「こんなこともあろうかと」の國中研究所ものぞいてきました(残念ながら、國中氏はお留守でしたが)。はやぶさには「μ10(ミューテン)」というエンジンが使われていましたが、現在は「μ20(ミュートゥウェンティ)」を開発中だそうです。μ20はμ10に比べて3倍以上の推力を出せる上に軽量化しており、耐久試験中のところを見せてもらえました。

     のぞき窓を見てみると、向こうのほうで青い光がぼんやりと見えました。あれがイオンの色かーと思うと同時に、狭い実験室で見せてもらえるくらい、出力が小さいものであることも実感しました。もしロケットエンジンの実験をこんな近くで見たら、死んでますよ?

     イオンエンジンは秒速40kmでイオンをなげる反作用で推力を得る仕組みなのですが、秒速40kmったら、東京‐大阪間を12秒で走り抜ける早さだそうです。そう言われても、なおさら実感わきませんが。

    ○電波無響室

     音がまったく反響しない、無反響室というのはテレビで見たことありますが、あれの電波用のですね。高さが2~3階ぶんくらいの広い部屋なのですが、壁には青い三角錐のトゲトゲがびっちりと敷き詰められていて、異様な空間でした。このトゲトゲは炭素の粉を含んだスポンジ状のもので、電波を10万分の1にまで減衰させてしまうそうです。探査機や衛星のアンテナ(もちろんはやぶさのも!)はすべてこちらで性能を調べたとのこと。周囲の壁は外部の電波を通さない素材で作られているので、正確にアンテナの性能を調べられるそうです。

     普段は小さなドアで出入り口で出入りするそうですが、特別公開のこの日は、機材搬入用の扉、というか壁そのものが開け放たれていました(扉全体も青いトゲトゲで覆われているので、解説員の方に聞くまで気づかなかったのですが)。電波が遮断されるというと、携帯電話がどうなるのか気になりますよね?試してみたところ、それだけ開放されている状態なのに、中に入るにつれて携帯電話のアンテナがどんどん減っていって、ついには圏外に!

    ゆげ2号「あたりまえですが、この中に入ったら携帯がつながりませんね。」
    解説者「そーです。外からどんなに連絡をとろうと思っても、つながりませーん。」
    ゆげ2号「でも、内線電話はあるんですよね?」
    解説者「あーそーですねー。やっぱりありますねー。」
    ゆげ2号「…(じゃあ、外から連絡取れるじゃん!)」

     ちょっとノリが軽くていい人でした。 

    ○大気球実験

     ずーっと最先端の宇宙技術を見聞きしたあとで、いまどき気球?(失礼)と思ってしまいますが、ロケットなどを打ち上げるのに比べて、実験コストが小さく、実験装置の回収も容易ということで、たくさんのメリットがあったんですね。しかし、ゆげ2号がはじめにひっかかったのはそういうことではなく、実験の実施場所が北海道広尾郡大樹町であるということ。元道民なのに知らなかった…。

     解説員の方に伺ったところ、2007年までは岩手県で行っていたのが、2008年から大樹町に場所を移したそうで。毎年5~6月、8~9月におもに行っているそうです。なぜその季節なのかというと、気球が風に流されて移動した後、高度をあげて逆向きの風を利用して回収するのに、その季節が都合がいいんだとか。会場には大きな気球が展示されており、早いもの順で世界極薄の気球フィルムのサンプルが配られていたそうです(我々が着いたときはとうになくなってましたが)。気球っていうと地味な印象を受けますが、侮れませんねー。

     なるほどねー、と見て回っていたゆげ2号の耳に、こんな会話が聞こえてきました。

    小学生の男の子「僕も、おっきな気球とばしてみたいー!」
    解説者「んーそうかー。じゃあ、大きくなって僕らの仲間になれば、気球をバンバン飛ばせるようになるよー。今、仲間が足りないから大歓迎だよ~。」

     …やっぱり、地味なのかもしれない(笑)。あ、でもですね、解説プリントを見ていたら「火星や金星など大気のある惑星の探査を行うため、惑星気球の研究も進めています」とのこと。「惑星気球」って…、何、その、古典SFにも出てこなそうな牧歌的なフレーズ!そんな野望があるなんて素敵すぎです。

     ともかく、気球とはいえ、無人気球が成層圏を越えて中間圏に到達する世界高度記録を持っていたり、すごいのはたしか。機会があれば、大樹町での実験の様子を見てみたくなりました。



     そんなわけで、全部の展示はとても見切れませんでしたが、楽しかったです。はやぶさばっかり注目されがちではありますが、カプセルとヒートシールドを見るだけじゃ、やっぱりもったいない。行ったからには展示をじっくり見て、解説員の方の話に耳を傾けていただきたい。そして、ちょっとしたことでもいいので、質問をぶつけてみると、より有意義で楽しい時間になると思います。

     そして、今回同行してくれた該当者氏に学んだこと。「敷いたり雨よけにしたり便利だから、新聞紙を持っていけ」と「キーパーソンの顔と名前を覚えておくと、面白い話が聞きやすい」ことです。しかし、新聞紙はともかく、川口氏以外のプロマネの名前と顔なんて、どこで調べてるんだろう…。プロ野球カードならぬ、JAXA研究員カードとか作ってるんじゃなかろーか。

     JAXA特別公開の話はこれで終わりますが、おまけの話がもう少し続きます。いつになったら野辺山の話が書けるんだか…。

     つづく

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    Posted by ゆげ1号 on  | 2 comments  0 trackback

    2 Comments

    該当者 says...""
    直接的には関係ないですが、「はやぶささん 03」がアップされてます。
    http://www.nicovideo.jp/watch/sm11848114

    ○PMの顔
    PMの方は大体そのプロジェクトのページに行けば出ているかと。
    今回の場合は、NHKの「"種子島"50ボイス」を見ていたのが大きいかと。
    顔と名前が一致したのはこのときですが、船瀬さんも見覚えありましたし。

    ○イオンエンジン
    どうも他のブログを見ると「IES兄」さんがいたようです。
    う~ん、残念。orz
    2010.08.23 02:26 | URL | #195Lvy4Y [edit]
    ゆげ2号 says..."コメントありがとうございます"
    >「はやぶささん 03」
     楽しみにしてましたー。教えてくれてどもです。サンプラー・ホーンが魔女っ子のマジカルスティック的なのがツボです。このシリーズは、欄外の解説を読むのも楽しくて、続けて3回くらいは見てしまいます。

    >○PMの顔
     イカロスのプロマネを確認するため、私も調べてみましたが、結構手間取りましたよー。情報収集スキルの違いなのでしょうね。やむなし。あと、人の顔をおぼえるのが苦手ってのもありますが。いやもう、「該当者氏=月光」でいいです(魁!男塾ネタなのですが、知らなかったらすみません。)。

    次回、例のブツの話になる予定です。
    2010.08.23 12:06 | URL | #PtTZI1rk [edit]

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